ボン・アゴールニン啖爵は一代で立身出世を遂げた体長７０フィートに達する偉丈夫だが、ドラゴンの社会で最もものを言うその体格には誰にも語ったことのない秘密があった。齢５００歳に達した老ボンが死の床に就いたとき、一人その秘密を背負う重みに耐えかねて牧師となっている長男のベンに告解の秘蹟を求める。ベンの所属する新教の教会では、告解を受けて免罪を施す行為は異端とまではされていないものの非難されるには充分であり、行えば社会的地位を失う恐れもあったが、老父の末期の頼みとあってそれを聞き届けた。さて、ドラゴンが死ぬと、その財産と共に肉体も親族に分与される慣わしなのだが、ボンの意志は既に一定の地位や財を気付いている長男ボンやデヴラク士爵家に嫁いでいる長女ベレンドには身を引いて貰い、これから社会的地位を築こうとしている次男や嫁入り前の二人の娘へ多くを遺すところにあった。特に、ドラゴンの肉体には日々の糧では得られない成長を促す魔法的な効果があるのだが、あろうことか娘婿デブラク士爵が自分の権利を主張して義父の体の大半を喰らってしまう。圧倒的に大きな体躯を誇るデブラクに対決を挑むことも出来ないボンの遺児達は、歯噛みしながらも指を加えて父の亡骸が喰われるのを眺めることしか出来ないのだった。亡父の領地を受け継ぐほどの体格を持たない子供達が止む無く別れ別れとなって暮らし始める中、次男のエイヴァンはデブラクによって歪められたボンの遺志を正すため、法廷闘争に持ち込むのだが・・・ヴィクトリア朝時代のイギリスをモデルにしているらしく、お家騒動＋ロマンスという筋立てだが、登場するのはドラゴンばかりという異色作。しかし、擬人化しているというのではなく「人間」はそれそのものとして存在しており、ドラゴンとは種族間戦争の末に勝利を果たしているらしいが、本筋には殆ど絡んでこない。貴族達が領地運営をしながらも首都を定期的に訪れては社交活動に励む様子だけを読んでいると、相手が人間ではなくドラゴンなのだということを失念してしまいがちになるが、食事のシーンにおける「１人あたり牛２頭」のような晩餐メニューなどで思い出させてくれる。他にも、黄金を敷き詰めた寝床で心地よさのあまり寝過ごしてしまったりする固定概念的なドラゴンらしい場面や、女性ドラゴンが男性ドラゴンからのプロポーズに対して鱗を金色からローズ・ピンクに変色させたりするというようなオリジナリティ溢れる場面があって、それぞれに愉しい。貴族がいるからには搾取対象もいるわけだが、本当のエリザベス朝時代と最も異なるのは、搾取が財産のみならず肉体にも及ぶ点。冒頭のボンの葬儀のシーンからも明らかにされるとおり、ドラゴンは他のドラゴンの肉を喰らうことによってのみその体格を大きくさせ得る。領地に住む農民の子の中に成長の見込みの少ない貧弱な者があれば、これを喰らう権利は領主にあり、貧富の差のみならず体格的にも貴族と農民の間は開いて、結果として貴族の支配権を強めることが出来るというわけだ。文字通り「体が資本」のドラゴン社会だからこそ、デヴラク士爵の狼藉が法廷闘争に持ち込まれるのだが、そこに他人には明かし難いボンの告解の内容や子供達それぞれのロマンスが絡んで、ストーリーが膨らみを増している。

2023/06/06

Eren

2023/06/05

"『前へ、前へ、果てしなく前へ』ジョナスは例のフレーズをまた言った。(中略)今その言葉は、忌まわしい響きをともなっていた。ジョナスにはわかっていた。要するに、何も変わらないということなのだ。"1993年に発刊され全世界1,000万部のベストセラーとなった近未来小説の本書は、記憶の大切さ、世界の豊かさを教えてくれます。個人的には、別に読書会を主宰している方から本書を熱烈に紹介されて手にとったのですが。人生の全て。天候や人間の感情や家族の在り方まで管理された【幸せな？世界】大きな災厄や犯罪など起こらず、平穏に人生を送ることができる代わりに【色彩を失った世界】で、過去からの記憶を得た事で悩み葛藤し"あるものを凝視するんだ...そしてその一瞬を待つ"と行動し始める主人公の姿には共感できました。また長らくの絶版から国内の有志により再出版されたエピソードがあったり、2016年にはハリウッドで映画化もされたらしいのですが。確かに多くの人に支持されるのも納得の魅力ある作品。シリーズの最終巻まで読みたくなりました。ディストピア近未来SF好きに、あるいは映画『ベルリン・天使の歌』好きな誰かにオススメ。

2023/06/03

今、手元に絶版になってしまった掛川恭子訳の本がないので、じっくり比較することが出来なくて残念。わかるのは、恐らく絶版の印象的な表紙（非常にインパクトのある老人の顔）と全く異なるものにしようと意図された余りにも白い雪景色の表紙。（映画化を意識したかのよう）更に本の薄さ。高校生の課題図書たっだ掛川版と余りにも厚みが違うので、どこかはしょって訳しているのだろうかと調べたくなるくらい。紙質の差？　そして絶版本は残りのシリーズが訳されていないが、こちらは続刊との関連性を持たせた表紙。（ギバーよりもレシーバーである主人公に焦点を置いた表紙）そして公開中の映画の雰囲気にも類似。近未来SFとしては面白いだけではないものが多々。それにしても、今読むと何だか物足りなく感じるのは何故だろう。掛川版を読んでから四半世紀以上経つからだろうか。映画が余りにもヒットしなくてがっかりしてしまったからか。

2023/05/31

イギリスの小説を原作とする、洋画のような、アニメのような、観たことのない日本映画。原作は意外と性に奔放だし、洋画ならもっと迫力があるだろうし、アニメなら主人公は少年だろう。だがこれは間違いなくコロナ禍に実現し得る邦画SFの最高峰であり、邦画にしか出せない味わいに満ちている。何といっても、タングがとびきり愛らしい！スターウォーズのドロイド好きにはたまらない存在である。さらに、１人で主人公とタングの２役をやってのけた二宮和也と、撮影期間数日で妻役を演じた満島ひかりの演技力がエグい。絵本のような寓話性とシットコムのような会話を、多くの日本人の感性に結び付ける確かな芝居。タングに告白する時、絵美の告白を聞く時、健が見せる優しい涙は、人間にできる一番優しい表情に思えたほど。市川実日子、奈緒、京本大我、三木組の常連である野間口徹らの好演も光る。飛行機に乗っていたふくよかな少年も印象的。小手伸也の暑苦しさと、武田鉄矢の説教臭さ、かまいたちの棒読みも振り返ればご愛敬。子供向けかと敬遠したが、一度観ると虜になって、今は続編が観たくて仕方がない。ファミリー層におすすめなのは当然として、冴えない中年にも観て欲しいし、個人的見解としてはデート―ムービーにぴったり。『TANG』を観て泣く人は間違いなく心が清く豊かだし、同時に危ういので支えが必要かと思われる。参考にして欲しい。『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』然り、『Arc アーク』然り、製作費に乏しい日本の実写SFはなかなかハリウッド映画のようにはいかない。役者も製作陣も途方もない労力が求められるが、よほど認知度の高いコミック原作でない限り興行的にもアニメと比べて引けを取る。だがそれでも。限られた条件の中で新しい映画表現を追求する個性的な作品が、選択肢としてこれからも作り続けられることを切に願う。

2023/05/27

地ならしで老若男女関係なく、一つの例外もなく只々踏み潰されてゆく。逃げても泣いても地ならしは止まらない。戦おうとした軍は真っ先に潰され、そもそも戦いにならなかった。人間を捕食しようとしてくる巨人は気持ち悪いだったが、地ならしの巨人は何も考えず感じずにただ進むだけ。巨人の進んだ後に残るのは瓦礫の山と潰れて原型を失った人間だったもの。閉じられた門に殺到する人が門を開けろと叫ぶシーンの直後に壊れた門が片方だけ「ギイイ」と音を開けて開くシーンは最高に皮肉が効いてると思った。「ほら、門は望み通り空いたよ、通る人間はもう一人もいないけどね」とでも言いたいかのように感じられた。原作では泣き叫んだ後、出番はなかったイェーガー祖父母の姿も描かれていた。地ならしが迫る状況で牢に入っていたのは、ちょっと状況が分からなかったけど。祖母は裁かれる日が来たと言ってたけど、この二人はそんなにも悪いことをしたのか？と疑問に思った。家族を守ろうと生きてきただけだと思うけど、それが結果的に裏目に出続けてしまったと思う。正直生き残って欲しかったけど、原作でも姿はなかったから間違いなく地ならしで命を失ったわけだけど、列車に乗って生きていて欲しかった。キツイけど面白い。目が離せない。そんな作品でした。

2023/05/27

現在２週目突入！最近のドラマによくある引き延ばしのためのくだらないストーリーなどはありませんリアリティがすさまじくファンタジー世界に入り込んだかのような没入感！見る価値があるドラマですね、いや映画なのか？いったいいくらつぎ込んで作ってるんだろう？おすすめです

2023/05/26

Nice mech with a great figure

2023/05/24

夜間、特に雨の日には乱反射しなくて見えやすいです。日差しが強い時には眩しですが装着感も良いですしズレたりしないので気に入ってます。

2023/05/21

The sheerness of this shirt is the selling point for. I’am at the gym 5 days aweekand with all my sweating, I want something light weight and sheer, as this T-shirt does.

2023/05/17